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zoom RSS 天国への道☆続3

<<   作成日時 : 2010/08/18 00:12   >>

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「おお、アラーの神よ。そうとは思わなかった。そんなことは考えたこともなかった。たしかにあの竹はただの竹じゃない。ばあさん、わしらの目は生まれつきのふしあなだよ。何十年もここに住んでいるのに気がつかなかったなんて!」  「わたしたちは生まれつきまぬけなんですよ。わたしたちは、こんなに近くにいるのに、それなのに気づかなかったなんて!」  「でも、今、わかったよ、ばあさん。子どもたちに教えられたよ。まだ年も若いのに本当にかしこいねえ。すぐ行ってみるのはどうだい?」  「はいはい。わたしたちはもう年です。それに今じゃ天国への道がわかったんだもの。このうえまだ何を待つんです。行きましょう!」 うれしそうに妻が言った。
他のことは気にもとめずに、年おいてしなびた夫婦は急いで家を出て、お客が言っていた竹やぶへ向かった。おじいさんが先に立っていき、おばあさんが後から追った。ふたりのうしろからは、声をたてて笑いながら、ふたりのようすを見物しながらお客たちが続いた。お客はいなかのひとをじょうだんでうまくからかえたのをおもしろがっていた。
 脇目もふらずに、おじいさんとおばあさんは高い竹に登った。苦労してふたりはつるつるした幹を登るのに成功した。時がたつにつれて高く高く登っていった。ほとんどてっぺんにとどきそうなとき、下から生徒が叫んだ「じいさーん。ばあさーん。鳥があんたらの畑を食い荒らしてるよ!」 おじいさんとおばあさんはあたりを見回したりしなかった。ただ答えだけが聞こえた「それならそれでいいよ。いつかはやられるんだ!」 そうこうするうちにふたりはどんどん高く登っていった。
ふたりの体の重みで竹のてっぺんはたわんだ。風が当たるとしなって折れそうだった。けれどもふたりの老人は一心に信じこんでいた。ちっともこわいとは思わなかった。そしてとうとうてっぺんについた。そのとき、突然、風が猛烈に吹いた。ふたりはあっちこっちと揺さぶられて落っこちそうになった。それからすぐに風はおさまった。するとふたりの体は消えうせてしまった。そこにはもうふたりはいなかった。どこへ行ったのかわからなかった。
見物していた生徒たちは、おじいさんもおばあさんも落ちてこないで、消えてしまったのを見て驚いた。あっけにとられて、生徒たちは顔を見合わせた。あのお調子ものの生徒がまたまっさきに口を開いて仲間にこう言った「ちょっと見てみろよ。この竹やぶは、本当に天国の階段へ行く道だぜ。ふたりは消えちまったよ。あのひとたちのあとについていくのがいいと思うな」。「天国への道がわかったら、地上でこれ以上生きてなきゃならないわけはないだろう」。べつの生徒が言った「それがいい。ぼくも行くぞ」。
ふたりが竹やぶへ走っていくと仲間全員がそれを追った。だれもあとに残ろうとはしなかった。生徒たちは競って竹に登った。ずいぶん高くまで登ったとき、また風が吹きだした。そして竹のてっぺんがしなった。やっとの思いで生徒たちは幹にしがみついた。落ちるのがこわくて、お互いに目を見合った。目はきょろきょろしていた。生徒たちの望みは消えてしまった。目はおろおろしていた。くちびるはふるえていた。体じゅうの毛がさか立ってしまった。生徒たちは叫んだが、その声はもはや人間らしい声ではなかった。みんな猿になってしまった。そして木から降りて畑の作物を荒らした。
 
終わり。

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